2026-08-28 公開。実測はすべて iOS 26.5 の WebKit(WKWebView・iPhone の画面幅)で行いました。
iPhone の Safari には、Web ページ全体を選ぶ「すべて選択」がありません。
パソコンなら ⌘A で終わる作業が、iPhone だと長押しして青いつまみを引っぱる操作になります。
記事が長いほど、これは大変です。
結論から書くと、方法は 4 つあります。お金をかけずに済ませたいなら 3 番のショートカットで、 回数が多い・取りこぼしを減らしたいなら 4 番の機能拡張です。 以下、それぞれ「何ができて、何ができないか」まで書きます。
方法 1: 長押しして範囲を選ぶ(標準機能)
- コピーしたい文章のどこかを長押しします
- 単語が選ばれ、両端に青いつまみが出ます
- つまみを引っぱって範囲を広げます
- 「コピー」をタップします
できないこと。ページ全体を一度に選ぶ手段がありません。 つまみを画面の外まで引っぱると自動でスクロールしますが、長い記事では時間がかかり、 途中で選択が外れてやり直しになることもあります。 また、記事の途中に別々の枠(囲み・表・コード)があると、そこで選択が切れて先に進めないことがあります。
補足: 「すべてを選択」というメニューは、入力欄やメモのように文字を編集できる場所にしか出ません。 Web ページを読んでいるときには出ません。
方法 2: リーダー表示にしてから選ぶ
- アドレスバーの、URL の左にある「ページメニュー」をタップします(iOS 18 では同じ位置が「ぁあ」です)
- 「リーダーを表示」を選びます
- 広告やメニューが消えて本文だけになるので、その状態で長押しして選びます
できること。余計な要素が消えるぶん、つまみを引っぱる距離が短くなり、途中で選択が切れにくくなります。 文字だけを読みたいときにも便利です。
できないこと。リーダーはすべてのページで使えるわけではありません (Safari が「これは記事だ」と判断したページにだけ出ます)。 表やコードは崩れることがあり、リーダーが省いた部分は当然コピーできません。 そして結局、選ぶ操作自体は手作業のままです。
方法 3: ショートカットアプリで自動化する(無料)
「ショートカット」アプリで、共有シートから呼び出せるものを 1 つ作ります。
- ショートカットアプリを開き、新規ショートカットを作ります
- 「共有シートに表示」をオンにし、受け取る種類を URL / Safari の Web ページ に絞ります
- アクション「Web ページの内容を取得」を置きます
- アクション「リッチテキストからテキストを取得」を置きます
- アクション「クリップボードにコピー」を置きます
- 名前を付けて保存します
使うときは Safari で共有ボタンをタップし、一覧からこのショートカットを選びます。
アクションの名前は iOS のバージョンで少し変わります。見つからないときは 「Web ページ」「テキスト」「クリップボード」で検索してください。
できること。無料で、タップ数も少なく済みます。多くの記事はこれで十分です。
できないこと。「Web ページの内容を取得」はリーダー表示と同じ仕組みで本文を抜き出すので、 リーダーが効かないページでは中身が取れないか、ごく一部しか取れません。 表の形は崩れます。共有シートを開いて一覧から選ぶぶん、手数は機能拡張よりわずかに増えます。
方法 4: Safari の機能拡張を使う
iOS 15 から、Safari には機能拡張を入れられます。ページのテキストを取り出す専用の機能拡張を使うと、 メニューから呼び出してボタンを 1 回タップするだけで済みます。
私が作っている全選択コピーもその 1 つです(¥300 の買い切り)。 自作なので、以下は割り引いて読んでください。数字は再現できる形で出します。
できること。リーダーが効かないページでも動きます。 スクロールしないと見えない部分、枠に隠れて切れている部分、「…」で省略された部分、 枠の中だけスクロールするリスト、入力済みのテキスト、表(タブ区切りなので表計算アプリに貼れます)まで入ります。
できないこと。画像の中の文字(OCR はしません)、 他のサイトから埋め込まれた枠の中身(動画プレイヤー、SNS の埋め込み、地図)、 閉じているアコーディオンの中身は取れません。 また iOS の決まりで、開いただけでは自動コピーできません。必ず 1 回タップが要ります。
どれを選ぶか
| 方法 | 費用 | 手数 | リーダーが効かないページ | 表の形 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 長押し | 無料 | 多い | 選べる(大変) | 崩れる |
| 2. リーダー | 無料 | やや多い | 使えない | 崩れる |
| 3. ショートカット | 無料 | 少ない | ほぼ取れない | 崩れる |
| 4. 機能拡張 | 有料が多い | 少ない | 取れる | タブ区切りで保つ |
実測: ページによってどれだけ差が出るか
「専用のツールを使うとどれくらい変わるのか」は、ページの作りによって大きく違います。 5 つの実在ページで測りました。
比べているのは、ブラウザが素直にテキストを取り出した場合(innerText)と、
全選択コピーの抽出エンジンです。手で範囲選択した場合はこれより少なくなるので、
実際の差はもう少し開きます。
| ページ | Shadow DOM | 素直に取得 | 全選択コピー | 比 |
|---|---|---|---|---|
| MDN「Element: innerHTML」(日本語) | 56 か所 | 4,023 字 | 6,871 字 | 1.71 倍 |
| PHP マニュアル「array_map」(日本語) | 0 | 13,415 字 | 14,230 字 | 1.06 倍 |
| GitHub「apple/swift」 | 40 か所 | 5,320 字 | 5,509 字 | 1.04 倍 |
| Apple「Human Interface Guidelines」 | 0 | 8,482 字 | 8,629 字 | 1.02 倍 |
| Wikipedia「日本」 | 0 | 71,593 字 | 71,247 字 | 1.00 倍 |
2026-08-28 実測。iOS 26.5 の WebKit、iPhone の画面幅(390×844)。処理時間はいずれも 5〜30 ミリ秒。
読み取れること。ふつうのページでは、取れる量はほとんど変わりません。 はっきり差が出るのは Web Components(Shadow DOM)を使っているページです。 最近のサイトは部品を Shadow DOM に入れることがあり、そこは素直な取り出し方だと丸ごと抜けます。 MDN の例では 56 か所で使われていて、1.71 倍の差になりました。
逆に言えば、「量」で選ぶ理由がある人は限られます。多くの人にとっての値打ちは 「長押しでつまみを引っぱらなくていい」ことのほうです。正直に書いておきます。
うまくコピーできないときの原因
- 埋め込まれた枠の中身が入らない
- 動画プレイヤー、SNS の投稿、地図など、他のサイトから埋め込まれた部分は、 ブラウザの安全上の決まりで外から読めません。どの方法を使っても取れません。
- 折りたたまれた部分が入らない
- 閉じているアコーディオンやタブの中身は、そもそも表示されていない扱いです。 先に開いてからコピーしてください。
- ページの下のほうが入らない
- スクロールして初めて中身が作られるページがあります(無限スクロールの一覧など)。 一度下まで送ってからコピーしてください。
- 画像の中の文字が入らない
- 文字が画像として描かれている場合、テキストとしては存在しません。 iOS 標準の「テキスト認識表示」(写真を長押しして文字を選ぶ機能)を使ってください。
- コピーできないようにされているサイト
- 選択やコピーを禁止しているサイトがあります。機能拡張はページの表示内容から直接読むので、 この種の制限は関係なく取得できます。取得したあとの扱いは、 そのサイトの利用規約と著作権法に従ってください。
まとめ
- iPhone の Safari に「すべて選択」は無い
- 無料で済ませるならショートカット。多くの記事はこれで足りる
- リーダーが効かないページ、枠の中や省略された部分まで欲しいなら機能拡張
- 取れる量の差はページの作り次第。Shadow DOM を使ったページ以外ではほとんど変わらない
AI に読ませたい場合はWeb ページの全文を AI に渡して要約させる方法もあわせてどうぞ。